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「散歩する侵略者」もしあなたの夫が侵略者だったら…?

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 黒沢 清 監督最新作「散歩する侵略者」(松竹/日活)タイトルだけ聞いても、なかなかにこわ~い感じがしますが、実際相当にこわ~いです。


 行方不明だった夫・真治(松田龍平)が帰ってきた。失踪前、夫婦関係は既に破綻していたが、戻ってきた真治は別人のように穏やかで優しくなっていた。そんな夫の変貌に困惑する妻・鳴海(長澤まさみ)。同じ頃、町では一家惨殺事件が発生。ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は取材中、天野(高杉真宙)と名乗る若者と出会う。2人は事件の鍵を握る女子高生・あきら(恒松祐里)を見つけるが、そこで天野とあきらは桜井に『自分たちは侵略者』だと告げる。一方、毎日散歩ばかりを繰り返す真治の行動を問い詰めた鳴海に、真治は『地球を侵略しにきた』と告白する…。

 
 原作は劇作家・前川知大 さん率いる劇団イキウメの人気舞台なんだそうです(すみません、毎度恒例未見です…)。そもそも前川さんは黒沢監督の大ファンで、黒沢監督もイキウメの舞台を見て、非常に感銘を受けられたんだそうで、これはもお相思相愛の映画化プロジェクトだったわけです。黒沢監督といえば、「トウキョウソナタ」のような人間ドラマや「岸辺の旅」みたいな少々スピリチュアルな物語、そして前作「クリーピー 偽りの隣人」のような、おどろおどろしいミステリー・スリラーまで、その作風は強烈に幅広く、どの映画も強い印象を与えられます(吾輩、前作の「クリーピー…」は、あまりに強烈過ぎて見終わった後、正直気分が優れず、しばらく『この監督の映画、もお見たくない』とまでトラウマ化しておりました…)が、今回もこれまでに負けず劣らずな非常にインパクトのある作品に仕上がっています。原作の舞台を見ておりませんので何とも言えないのですが、映画のスタートは舞台作品らしく(?)静かな滑り出し(それでも一家惨殺事件なんてのが、出てまいりますが…)なのですが、物語が進むにつれて徐々に過激な映像が出てまいります、至近距離からマシンガン乱射して、血まみれ。無人機によるドッカンドッカンな対人爆撃シーンなどなど…。結構前後脈略無くいきなりぶっこまれてますので、見ていて度肝を抜かれます。またまた“黒沢ワールド”の幅が広まったような気がしました。
 この映画の侵略者達は、まず地球人の“概念”を調査してそれを奪っていくのですが、この描かれ方は斬新でしたね。それを抜かれた人間は、まるで最初からそれが存在して無かったかのように振舞うのですが、見た目は何も変わっていませんので、この辺り“概念”を奪われてしまった人々を演じるキャスト陣(前田敦子光石 研満島真之介 etc)の演技も、見物です。
 主演の長澤まさみさんが非常によかった!これは声を大にして言いたい!今回は、ここ最近の彼女の話題に必ず上がる“艶っぽい演技”は一切無く、本当にごくごく普通の(理不尽な事態に巻き込まれてしまった)女性を抑えた(これまでの役どころからするとですが)演技で、とても自然に演じています。これまでの中で一番なんじゃないでしょうか?うん、何か一皮剥けられたような気がしました。彼女ももお立派な“中堅女優”ですもんね。そういう意味では若手の恒松祐里さんは、今回非常に弾けた難しい演技をさせられていますが、これを難なくこなしている所に末恐ろしいものを感じました。彼女を「くちびるに歌を」で初めて見た時、『素晴らしい女優さんが出てきたな~』と思ってたんですが、まさかこんな風な芝居を見せてもらえるとは…。いやあ、驚きです。あと松田龍平さんの掴みどころの無さと、長谷川博己さんのキレた弾けっぷりは、どちらも非常に役にマッチしてました(^^;。今回、主要キャストは黒沢映画に初参加なんですね、何か意外です。常連(?)の笹野高史 さんが、結構恐ろしい役で出てきます。これも見物です。

 「散歩する侵略者」は、9月9日(土)~全国ロードショーです。あなたの愛する人が侵略者だったら?想像するとチョット恐ろしい…、そんな物語をあなたも是非!映画館でご覧ください。

~追記~
 試写会場で、とある方が『ウルトラセブンの1エピソードみたいな話やったな~』と言っておられました。ああ、その感じわかります!




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by mori2fm | 2017-09-07 22:47 | 映画評 日本映画 さ行