「涙そうそう」「天使の卵」う~ん、これでは泣けん!

 ただいま発売中の“ぴあ関西版”の表紙の言葉『秋、日本映画で泣く』。確かにこの秋の日本映画は、やたらと“泣けそう”なラブ・ストーリーが目白押しでございます。まあ吾輩も、イイ映画を観て感動の涙を流すことは大好きですので大いに期待して、行ってまいりましたよ「涙そうそう」(東宝)「天使の卵」(松竹)。しかし、これがまた予想外に辛かった…。



 先ずは「涙そうそう」から…。

 舞台は沖縄。親同士の再婚で、兄妹となった洋太郎(妻夫木聡)とカオル(長澤まさみ)。やがて父が失踪し、母(小泉今日子)の死去によって2人きりになった洋太郎とカオルは、オバァ(平良とみ)に引き取られ、島で育った。それから数年。成長して沖縄本島で暮らす洋太郎の許へ、高校に合格したカオルがやって来る。その日、港まで迎えに行った洋太郎は、フェリーから手を振るカオルを眩しく見つめるのだった…。

 基本的には手堅い作りで、“イイ映画”なんですよ。この手の映画の王道とも言うべき『清く、正しく、美しく』の精神が、映画の全篇を通して見事に貫かれていますし、妻夫木クンもまさみちゃんも、非常に爽やかな演技で、観ていてとても清々しい気持ちにしてくれます。
 一歩間違えると、同じテーマ(?)を扱っているあだち充 先生原作の「みゆき」になってしまいそうでしたが、そんな軽い方には行かず、ひたすら“品行方正”に撮り上げています。でもねえ…あ、ここからは後述いたします…。


 続きまして、「天使の卵」でございます。


 美大を目指して浪人中の歩太(市原隼人)は、夏姫(沢尻エリカ)と交際していたが、思うような絵を描くことが出来ず、不満な日々を過ごしていた。或る日、電車の中で出会った女性に心を奪われた歩太は、その面影を思いながら、一心不乱に彼女のスケッチでスケッチブックを埋めていく。やがて、その女性・春妃(小西真奈美)と思いがけない形で再会する歩太。春妃は精神科に入院している歩太の父の新任の主治医だった。更に驚くべきことに、彼女は夏姫の姉でもあった…。



 もの凄く期待して観に行ったんですが、どうも感情移入できませんでした。原作はベストセラー恋愛小説だってこと(モチ、未読!)ですので、もう少し、話がキチンと構成されていると思うのですが、映画化にあたってかなりムリしたんじゃないでしょうか?とにかく、ストーリーに流れが感じられん!俳優陣は、みんな一生懸命演じているのに、どうもそれに最後までノレなかった。特に市原隼人クンの演技は、素直で一生懸命な分、余計空回りしているように思えてならなかった…てのが正直な感想です。で、この映画にも、吾輩が最も認められない点がございまして…。



 どちらの映画もですね、重要人物が死んじゃうんですよ!「涙そうそう」では妻夫木クンが、「天使の卵」では小西真奈美チャンが。しかもどちらもアッサリと、話の前後何の脈略もなく、結構イキナリお亡くなりになっちゃう(さっきまで、メチャクチャ元気やったがな!)んですよ。何故?どうして?人間って、そんなに簡単に死んじゃうのか?
 まあ「涙そうそう」の場合は、モチーフになった森山良子さんの歌の歌詞で、お兄さんが亡くなるという件があるそうですし、「天使の卵」にいたっては原作本があるわけですから、そりゃ必然的に死ななきゃいけないんでしょうけど、それにしてもね~。何か如何にもこれで『さあ、泣け!』と押し付けられているようで、吾輩は泣けませんでした。ゴメンね!ひねくれてて!!

 でもね、“日本映画”はたしてこのままでいいのでしょうか?確かに今、業界的に活気付いてる(『“ハリウッド映画”よりも面白い!』とは、吾輩も思うのですが…)のは確かだと思うのですが、安易に登場人物を死に追いやることで、“お涙頂戴”なんてことやってたら、そのうちまた昔の“ツマンない頃の日本映画”に戻ってしまうんじゃないでしょうか?どうせ泣くなら、純粋に話の素晴しさで泣かせてくれる映画に、お目に掛かりたいモンであります。

 で、そんなこと思っておりましたら、先週末から公開されている「虹の女神」(東宝)。吾輩、現時点で未見ですが予告編を観たかぎりでは「天使の卵」と殆んどやってること一緒(市原隼人・主演ってのも同じやし)!うぉ~い、大丈夫か~??


 「涙そうそう」「天使の卵」どちらも、絶賛公開中です。この映画で、あなたは果たして泣くことが出来るか?是非、映画館でご確認ください。
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Commented by keko_m at 2006-11-02 03:22
んー。。
観ない方に、1票〜♪ (笑)

ほら、泣け泣け〜って、いかにも涙を誘ってる風な
あざとさを感じさせる映画は、観ててつらいものがありますね。
その余裕のなさが、今の邦画の現状なのかも..だけど。
Commented by dosanko0514 at 2006-11-03 12:02
今の日本映画、また盛り返してきたと思います。
若い監督、俳優が実に良くなってきました。
「虹色の女神」観てきましたけど、泣かせると言うよりは、甘酸っぱい切なさを感じさせる作品でした。 ボク的には満足でした。
Commented by mori2fm at 2006-11-08 15:27
>けいこちゃま。『泣け泣け』って言われて、それで泣ければ
まだ救われるんですが、泣けなかったら、これほどシンドイことは
ないよね~。
>道産子様。仰るとおり、日本映画盛り返してきてますね。
吾輩も、この勢いは続けていっていただきたいと思います。
「虹の女神」よかったですか?何とか、時間を作って観に行きたいです。
by mori2fm | 2006-11-02 01:00 | 映画評 日本映画 な行 | Trackback | Comments(3)

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