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「ただ、君を愛してる」後半20分!やられました…(泣)。

 少し前のエントリで、“泣けないのに、泣かそうとする日本映画”について書きました。で、いま映画館で開催(?)されている“怒涛の泣ける日本映画ラブストーリー”ラインアップの中から、『これは、どうなんやろう?』と思いながら観てまいりましたのが、「ただ、君を愛してる」(東映)。予備知識殆どなし(主演が宮﨑あおいで、原作者が「いま、会いにゆきます」市川拓司氏だって事ぐらいは知ってましたが)で観に行ったのですが、これが…やられましたわ…。


 大学の入学式に欠席した誠人(玉木宏)は、大学の前の横断歩道を渡ろうとして、行き交う車が停まるのを待っていた静流(宮﨑あおい)と出会う。その個性的な静流の行動に、思わず愛用のカメラのシャッターを切る誠人。それから2人は、“人と群れるのが苦手な者同士”という関係から友達になり、学生生活の中でいつしかお互いに、かけがえの無い存在となっていく。しかし誠人は、どこか幼い静流のことを異性とは意識せず、同級生のみゆき(黒木メイサ)に心惹かれていく。そんな誠人の気を惹きたい一心で、静流もカメラを始める。そんな或る日、弟の死を切っ掛けに家出をした静流を、誠人は自分の家に住まわせる。勿論、誰にも秘密ではあったが、一つ屋根の下にいても誠人は静流を、異性としては意識しなかった。学生生活も佳境に入り、誠人と静流はお互い、写真コンクールに出展することに。静流は写真のテーマを“恋人”と決め、誠人にキス写真のモデルを頼む。2人が撮影に通った森の中でのキス。この撮影の直後、静流は誠人の前から忽然と姿を消す。誠人は、いなくなって初めて静流の存在の大きさに気付くのだが、彼女の足取りはまったく掴めなかった。それから2年が過ぎた或る日、誠人の許に静流からの手紙が届く…。


 出だしから1時間20分くらいは、退屈でした。正直に申し上げて『何かよくわからん(ちゅうか、“スカッ”とせん)話やなあ。これのどこで泣けっちゅうねん??嗚呼、またブログに愚痴書かなイカンかなあ』などと思っておりました。んが、しか~し!後半20分くらいからの展開に、吾輩はやられてしまいました。ええ、ホント失礼しましたですよ。ハイ泣いちゃいましたよ



 この映画も昨今の(泣きの)日本映画のご多分に漏れず、主人公(静流)が死んでしまいます。ただ、この映画がココ最近吾輩が観た映画と異なっているのは、『どうして彼女は死んでしまったのか?』と言った点を、キチンとストーリーの中で描いてるところです。それもこれ見よがしに観客に押し付けるのではなく、むしろ淡々と真実を明かしていきます(『生涯ただ一度のキス  ただ一度の恋』ってキャッチが、とても切なく思えてきます!)。正に静流は“命懸けの恋”をしていたわけです。そしてそのストーリーを伝えるのに、この映画では重要な役割を果している“写真”が非常に効果的に使われ、とても清々しい感動を観る者に与えてくれます。
 物語的には、観終わった後も幾つか疑問点は残る(『誠人の腹の湿疹(?)は、何が原因なのか?』『みゆきは何故、誠人に声を掛けたのか?』原作読めば、わかるのかな…)のですが、その辺りが気にならないほど、何か優しい気持ちになって映画館を後にしました。


 誰かを好きになるということ…、本気の恋は命懸け。こんな純粋な思いが、スクリーンから溢れ出てくる映画です。最近“いじめ”で自殺してしまう子が後を絶ちませんが、そんな子達にこの映画を観て、“生きることの素晴らしさ”“人を好きになることの素晴らしさ”を是非とも知ってもらいたいと思いました。


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 「ただ、君を愛してる」は、ただいま全国好評上映中です。こんな時代だからこそ、純粋な恋の形を見に、映画館へ足をお運びください。
by mori2fm | 2006-11-09 21:45 | 映画評 日本映画 た行