人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「天国の本屋~恋火」こころ暖まる、再生の物語

「天国の本屋~恋火」こころ暖まる、再生の物語_a0014708_14639.jpg “願いはかなう。想いは伝わる。”←は、この映画「天国の本屋~恋火」(松竹)のキャッチコピーだ。現実は、そんなに簡単なモノじゃない。でもそう思うのもイイかも知れない。この映画を観ていてそんな風に思った。

 ピアニストの健太(玉山 鉄二)は、楽団をクビになりクサッていたところを、ヤマキ(原田 芳雄)という男に生きたまま天国へ連れてこられ、そこの本屋での短期バイトをさせられる。ヤマキによると『人間の寿命は100歳で、死んだ歳から100歳までの間を人は天国で過ごす』ということだ。そこで健太は、かつての憧れのピアニスト翔子(竹内 結子)と出会う。彼女は生前の事故がもとで耳が不自由になっており、ピアノも弾けなくなっていた。その頃、現世では翔子の姪の香夏子(竹内結子 2役)が、商店街の花火大会を復活させようと奔走していた。その最中、香夏子は叔母翔子と花火師の瀧本(香川 照之)との悲恋話を知ってしまう…。

 天国と現世がリンクしながら展開していく物語。幾つか泣かせどころ(特にヨカッタのは、本屋で働く由衣(香里奈)が死んだ弟と再会するシーン)が用意されていて、観ていてとても切なくなってしまった。ただその泣かせどころも、比較的淡々と進むストーリーの中にうまく織り込まれているので、押し付けがましくなく非常に心地よい感触を持って映画を観ることができた。生きた人間のこころを救済するという話は、いままでにも数多く有ったと思うのだが、死んだ人間(この映画では、あくまでも“天国の住人”)の魂の再生(黄泉がえりということではなく)を描いたという点で、この映画はとても優しい映画に仕上がっている。惜しむらくば、それまでの流れからいくとラストがあまりにもアッサリしすぎていたような気がするのが残念…。

 また本作の監督である、篠原哲雄の前作「深呼吸の必要」にも出演していた香里奈が、今回もイイ演技をしている。このまま次世代をショッて立つ女優さんに育っていってもらいたいモノだ。

 「天国の本屋~恋火」は、ただいま好評上映中。さあ皆さん、映画館で優しい気持ちになってください。
by mori2fm | 2004-06-18 01:43 | 映画評 日本映画 た行