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「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」アメリカよ、驕るべからず…。

 “アカデミー主演男優賞×2”+“アカデミー主演女優賞”+“アカデミー監督賞”まあ、何と豪華な顔ぶれでございましょうか!「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」(東宝東和)。にも関わらず、何なのでしょうか、この地味~な空気は…?



 1980年。テキサス州選出の下院議員、チャーリー・ウィルソン(トム・ハンクス)は、酒と女に目がなく“お気楽議員”として日々幸せに生きていた。しかし或る日、ソ連に軍事介入されたアフガニスタンのニュース映像を見たチャーリーの中で、持ち前の正義感が目覚め、自らが委員を務めていた“国防歳出委員会”で、わずか500万ドルだったアフガニスタンへの支援額を倍増させるように指示。そんなチャーリーに、テキサスの大富豪・ジョアン(ジュリア・ロバーツ)が近付き『アフガンの人々のためにあの国を救ってほしい』と訴える。この願いを聞いてチャーリーはパキスタンへ渡り、ハク大統領と対面。予算を倍増させたことを報告するが、その程度の額では、何の役にも立たないことを指摘される。その後、パキスタンのアフガン難民キャンプを視察したチャーリーは、更なる支援の必要性を実感し、帰国。CIAから派遣されてきたエージェントのガスト(フィリップ・シーモア・ホフマン)と共に、ソ連をアフガンから撃退する作戦を考案していく…。


 なるほど確かにキャッチの通り“たったひとりで世界を変えた、本当にウソみたいな話”ではあります。当時のアフガニスタンは悲惨だったでしょうし、その危機を救うためにチャーリーがやったことは、確かに素晴らしいと称賛に値するとは思います。しかしこの映画、ラストでトンでもない事をヌカしておるのです。それは『俺たち、最後にチョット失敗しちゃいました』ってことを、堂々とカミングアウトしとるのですよ!何を失敗したかってことは、映画を観てご確認いただきたいのですが、このことが結局ソ連撤退後のアフガンを混迷させ、結果タリバンやアルカイダなどを台頭させる要因となってしまったのです。それに伴う世界的な混乱は、皆さんもご承知の通りですし、そしてそれは現在も間違いなく進行形で存在している問題なのです。にも関わらず、こんな状況下でこのような映画を作って公開してしまう…吾輩は、この映画を観て『こんなん、アメリカのエゴやがな!』としか思えませんでした。行なったことに対する結果に対して、これではあまりにも無責任すぎます。

 随分と政治的な内容についてツッこんでしまいましたが、映画としても冒頭に書いたように豪華スタッフ&キャストが集結しているのも関わらず、何か締まりがないんですよね。ユル~いって言うのかな?トム・ハンクスは、至って“普通”です。ホントに“普通”としか言いようがないくらい“普通”ですし、ジュリア・ロバーツなんか、『別に誰でもイイんとちゃうの?』ってくらい、存在感の感じられない演技ですし、唯一フィリップ・シーモア・ホフマンが、“はぐれエージェント”の役で、イイ味出してくれてるのが救いのタネですね。マイク・ニコルズ監督お得意の“風刺をきかせた演出”も、この映画では少々空回りしちゃったようです。重いテーマを、軽い作風で仕上げようとしたんでしょうが、非常に中途半端な“どっちつかず”という印象を受けました。どうしたかったんだよ~??

 ただ、“知られざる歴史の1ページ”を知ることが出来るのは確かです。特に中東問題やテロとの戦いなどに興味がおありの方には、必見の映画であると思います。


 「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」は、5月17日(土)より全国ロードショーです。1人の男が起こした世界を変えた奇跡を、あなたも是非映画館でご覧下さい。


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by mori2fm | 2008-05-15 01:34 | 映画評 外国映画 タ行