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「闇の子供たち」ムゴすぎる現実…。

 映画を観終わって、こんなに重い気分になったのは久々ではないでしょうか?「闇の子供たち」(ゴー・シネマ)。『悲しい』とか、『泣ける』とか言う類の言葉では括れない。トンでもない“問題作”です。


 日本新聞社バンコク支局の記者・南部(江口洋介)は、東京の本社から『近々日本人の子供が、タイの闇ルートを使って、心臓移植手術を受ける』という情報を入手し、そのネタの調査を依頼される。知人に金を握らせ、臓器密売の元仲介者に接触した南部は、提供者の幼児は、生きたまま臓器をえぐり取られるという衝撃の事実を知る。その頃、バンコクのボランティア施設に、日本人の恵子(宮﨑あおい)がやって来る。東京の大学で社会福祉を学んだ恵子は『アジアの子供たちの為に、何かをしてあげたい』という思いから、タイへやって来たのだった。スラム街の視察に同行した恵子は、そこで貧困層の厳しい現実に直面する。施設へ読み書きを習いに来ていた少女・アランヤーの自宅を訪れた一行は、最近彼女が姿を見せないことを、親に問い質すが、仕事が忙しく、読み書きどころではないと一蹴されてしまう。取材を続ける南部が、情報提供の依頼に施設を訪問。移植手術の全容を南部から聞かされた恵子達は、戦慄する。或る日、施設にアランヤーからの手紙が届く。実は彼女は児童買春宿に売り飛ばされ、児童性愛者の相手をさせられていたのだ。助けを求める手紙の内容に、ボランティア一同は、アランヤーを救い出すべく行動を開始する…。


 観ている間、何度もスクリーンから目を逸らしてしましました。心中で『勘弁してくれ』って、呟いてしまいました。ショッキングな事実と映像。“児童性愛”と“臓器売買”。普通の感覚を持っている人なら『もう充分だ!』と言うくらいに、堪らない気持ちになるでしょう。更に吾輩のように“児童”と呼ばれる年齢の子供を持つ親にとって、この映画はまるで“拷問”のような、『ムゴい』としか言いようがない、2時間18分でした。そして『ムゴい』と感じると同じくらいに、烈しい憤りを覚えました。『何とか、ならんのか!?』と。

 しかし、コレが現実なのです。それも、需要の側に一部の日本人も大いに関わっている、作中『東京から地図で20Cmの距離』と台詞で語られる街・バンコクで、実際に起こっている出来事なのです。キレイ事では済まされない、この現実を描いた梁石日(ヤンソギル)の原作を、阪本順治 監督が、真正面からぶつかって入魂の1本に撮りあげています。特に作中、子供たちが無邪気に遊んでいるシーンと、売春宿で鎖に繋がれているシーンの対比が、あまりにも鮮明すぎて吾輩の頭の中から離れません。或る意味トンでもなく、素晴らしい演出です。

 江口洋介、宮﨑あおい、妻夫木 聡佐藤浩市と、豪華なキャスティングが揃って、ラストまで救いのないストーリー(本当にラストで、とどめを刺されます。覚悟してください)が展開されます。正直『出来れば知らないままの方が良かった』とも思えるテーマなのですが、一度は観ていただきたい映画です。但し、決して軽い気持ちで映画館に行かないで下さい。観たことを後悔(“しょうもない映画”とか言う意味ではなく)させてしまうことになるかも知れない映画を、吾輩はおすすめしていますから。

 「闇の子供たち」は、ただいま全国順次公開中です。もう一度言います。覚悟を決めて、映画館へ足をお運び下さい。そんなに遠くないアジアの片隅で、凄惨な状況に置かれている子供たちの現状を見るために。


~9.22 追加TB~
 Excite エキサイト : 芸能ニュース“『闇の子供たち』バンコク映画祭で上映中止に”

 ~バンコク国際映画祭に出品されている阪本順治監督の『闇の子供たち』の上映が中止された。同作は、タイの児童売春と臓器売買をテーマにした社会派のドラマ。映画祭幹部は、映画が「タイの社会において適切でない」と主張している。≪中略≫「悪事を働くのは外国人ではありますが、映画にはタイ社会にふさわしくない児童売春に関する不適当な内容を含んでいます」とJaruek Kaljaruek連盟議長は説明する。~

 ↑こんなこと、いつまでも言ってたらイカンと思うんですけどね。問題の本質が解決出来ないですよ。


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by mori2fm | 2008-09-04 21:32 | 映画評 日本映画 や行