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シネマ親父の“日々是妄言”


我が娘にそっくりな“かぁたん” (from「カッパの飼い方」)
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カテゴリ:映画評 外国映画 ワ行( 5 )

「わたしに会うまでの1600キロ」究極の自分探し。

[リース・ウィザースプーン] ブログ村キーワード
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 「わたしに会うまでの1600キロ」(20世紀フォックス)。原題は「Wild」。今年のアカデミー賞でリース・ウィザースプーンローラ・ダーンが、それぞれ主演女優賞と助演女優賞にWノミネートされて話題になりましたが、邦題があまりに違いすぎるので、最初何の映画かわかりませんでした(^^;。しかし、この邦題は映画の内容を非常に的確に表現しています。

 愛する母・ボビー(ローラ・ダーン)を若くして亡くしたシェリル(リース・ウィザースプーン)は、その悲しみに耐えられず優しい夫も裏切り、薬と見知らぬ男に溺れる“最低の日々”を送っていた。やがて結婚生活も破綻。ようやく今のままではいけないと気付いたシェリルは、母がいた頃の誇りに思ってくれていた自分を、物書きになる夢を抱いていた頃の強い自分を取り戻す為に、ふと目に留まった“パシフィック・クレスト・トレイル”のガイドブックを見て、衝動的に歩くことを決める。しかし、それはシェリルの想像をはるかに超えた過酷な旅の始まりだった…。

 原作は女性ベストセラー作家シェリル・ストレイドの自叙伝です。映画の中でシェリルが挑戦する“パシフィック・クレスト・トレイル”とは、アメリカの長距離自然歩道のことで、メキシコ国境からカナダ国境までの西海岸を南北に縦走。総延長は何と!4,260キロにも及ぶんだそうです。シェリルが踏破したのは、このうちの1,600キロですが、それでも充分に過酷でした。何故ならシェリルは、まったく訓練もせずズブの素人のままでトレイルに挑んだのです。ハッキリ言って無茶、無謀です。『荷物を詰めすぎ…』『靴が合わない…』挙句に『靴を無くす…』もお無茶、無謀のオン・パレード。歩き始めてすぐに『バカな事をした…』と悔やむシェリルですが、それでも失った“自己”を取り戻す為に、3ヶ月を掛けて大自然を踏破していきます。大の男でもリタイアする行程を…。
 リース・ウィザースプーンは今回まさに“体当たり”で主人公・シェリルを熱演しています。これまでどちらかと言えば、優等生的なアイドル女優といった印象の強かった彼女(だって「キューティ・ブロンド」ですよ!)ですが、本作では複数の男性との大胆なベッドシーンに挑むなど、これまで見せたことのないような、まさに「Wild」な一面をスクリーンに晒しています。大人の、演技派の女優として、着実にステップアップをしています。そんな彼女の姿は必見です。過去にオスカー獲ってますが、あの頃よりも更にイイ女優さんになっていますよ!

 監督は前作「ダラス・バイヤーズ・クラブ」で、主演男優助演男優にオスカーをもたらしたジャン=マルク・ヴァレ。アメリカの広大な自然とそれに挑む1人の女性の姿を、淡々とそれでいて何とも感動的に撮りあげています。

 「わたしに会うまでの1600キロ」は、明日28日金曜日~全国ロードショーです。“究極の自分探し”に挑む1人の女性の姿を、あなたも是非!映画館でご覧ください。


映画『わたしに会うまでの1600キロ』 - シネマトゥデイ

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by mori2fm | 2015-08-27 22:30 | 映画評 外国映画 ワ行 | Trackback(10) | Comments(0)

「わたしを離さないで」心に刺さる。

[わたしを離さないで] ブログ村キーワード
 キャリー・マリガンアンドリュー・ガーフィールドキーラ・ナイトレイ。今が旬の、若手実力派スター3人が共演!「わたしを離さないで」(20世紀フォックス映画)。このタイトルだけ聞くと、何か“昼メロ”みたいですが、これが何とも心に突き刺さる“SF 純愛ラブ・ストーリー”なのでございます。


 キャシー、ルース、トミーの3人は、田園地帯に建つ寄宿学校“ヘールシャム”で、小さい頃からずっと一緒に育ってきた。厳格な女性校長・エミリー(シャーロット・ランプリング)の指導の下、ヘールシャムの生徒達には、外界とは完全に隔絶された施設で徹底した健康管理が行なわれていた。普通の子供たちとは違う、“特別な存在”として。やがて18歳になったキャシー(キャリー・マリガン)、ルース(キーラ・ナイトレイ)、トミー(アンドリュー・ガーフィールド)は、ヘールシャムを出て他の寄宿学校の出身者たちと、コテージと呼ばれる施設で共同生活を始める。ルースとトミーは、いつしか恋人同士になり、幼い頃からトミーのことを想っていたキャシーの胸中は、複雑だった。やがてキャシー達は、ある噂を耳にする。『本当に愛する者同士は、臓器の提供を猶予されるらしい…』キャシー達は、生体間移植のドナーとなるべく、この世に生を享けていたのだった…。


 カズオ・イシグロ原作小説の映画化(この方、日本生まれの英国育ちで、今や帰化されて“英国人”。“ブッカー賞”“ウィットブレッド賞”など数々の賞を受賞し、世界的に高く評価されている方だそうです…。すみません!吾輩は存じませんでしたm(_ _)m)。吾輩、当然の如く(オイ(^^;!)原作未読で映画に臨んだ訳ですが、前述したようにこの作品は“仮想世界”が舞台の、“SF映画”なんです。『医療の進歩により、平均寿命が100歳にまで延びたが、その背景には臓器提供のドナー達が、計画的に産み出されている…』っていう世界が描かれているのですが、時代背景が近未来などではなく“'70年代~”で、しかも映像全体が、灰色というか青み掛かったような色合いで撮り上げられていますので、ちっとも非現実的ではなく、むしろ見ていて『ん?コレって現実社会で起きた出来事??』って感じてしまうくらいの錯覚に陥ってしまいました。もちろん“空想物語”なんですけれども、それをわかった上で見たとしても、強烈に心に痛く突き刺さるストーリーです。元々ドナーとしてこの世に生を享けた主人公達は、『ドナーにも、魂がある』と考え、“人”として生きたいと訴えます。しかしそんなことは社会全体から見ると、極々些細なことに過ぎず、関わった人間達でさえ、どうすることも出来ない。それが定められた“ルール”であるという、残酷な“現実”だけが残るのです。オペ室の処置台の上で、動かなくなったルース。ラスト近くで、トミーが上げる“魂の叫び”など、もお心が痛すぎて吾輩凍りついてしまいました。なんなんでしょう?このとてつもない悲しみは。

 主演の3人は、“制限された世界に生きる若者”という難しい役柄を、それぞれの持ち味で熱演しています。特にキャリー・マリガンがいいですね。抑圧された中にも、確立した自己、芯の強さが感じられるキャシーという少女を、瑞々しく演じています。それから、この映画の特筆すべき点は、主人公達の子供時代を演じる子役達が、成人後の彼等に驚くほど似ているということ、更にはただ似ているだけでなく、非常に上手い演技を見せてくれることです。特にキャシーの幼少期を演じたイソベル・メイクル=スモールちゃんは、キャリー・マリガンそっくり!しかもスゴク自然な演技なのですが、何とこれが演技初体験なんだそうです!いやあ、驚きです。あとは、校長役のシャーロット・ランプリング、怖すぎ!もおね、目がイッちゃってましたよ~。え~ん、ホントに怖かった…(>_<)。


 「わたしを離さないで」は、3月26日(土)~全国ロードショーです。心に刺さる“魂の叫び”を、あなたも是非!映画館でご覧ください。

~追記~
 時代設定なんかは全然違いますが、描かれていたテーマはコチラの映画に通じるものがあるかと…。あ、でも対極に位置する映画ですけどね。

「わたしを離さないで」の映画詳細、映画館情報はこちら >>

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by mori2fm | 2011-03-10 21:39 | 映画評 外国映画 ワ行 | Trackback(46) | Comments(6)

「私の中のあなた」究極の家族愛。爽やかな感動。

[キャメロン・ディアス] ブログ村キーワード
 キャメロン・ディアス、女優キャリア初の母親役に挑戦!「私の中のあなた」(GAGA)。“名子役”の呼び声高い、アビゲイル・ブレスリンちゃんと親子役で共演。この秋一番の感動作!として、お薦めできる映画です。


 ブライアン(ジェイソン・パトリック)とサラ(キャメロン・ディアス)の夫婦は、長女ケイトと長男ジェシーの4人家族で暮らしていた。ケイトが2歳の時、白血病を発病。『長く生きることは困難』と宣告した主治医のチャンス(デヴィッド・ソーントン)は、サラ達に遺伝子操作をした、ケイトのドナーとなる子供を産むことを提案。その結果、次女のアナが誕生する。サラは弁護士としてのキャリアを捨て、人生の全てをケイトの延命のために費やす。そしてドナーとして誕生したアナは、ケイトを救うために自らの身体を何度も提供した。アナ(アビゲイル・ブレスリン)とケイト(ソフィア・ヴァジリーヴァ)は、とても仲の良い姉妹で、家族はケイトの病気に一丸となって闘ってきた。そんな或る日、11歳になったアナは、勝訴率91%を誇る敏腕弁護士・アレグザンダー(アレック・ボールドウィン)のオフィスを訪れる。そして『自分の身体を護るため、両親を提訴したい』と告げるのだった…。


 非常に重いテーマを扱った作品ですが、決しておどろおどろしくなく、むしろ非常に爽やかなテイストで描かれています。もちろん“難病系映画”ですので、要所要所では避けて通れない“重くなるシーン”が出てきますが、そこへ至るまでは、本当に優しいタッチの“ファミリードラマ”が展開されます。ですから泣けてくるシーンも“ジメっ”とした涙ではなく、目の奥から自然と湧き上がってくる感じの涙を体感することが出来ます。これから深まる“秋”という季節に、ピッタリの1本だと思います。

 “初の母親役”(←これまで無かったのが不思議…)、キャメロン・ディアスがんばってますよ。キャリアを捨てて娘のために迷い無く邁進する母親を、彼女が本来持ち合わせている明るさと相まって、非常にパワフルに熱演しています。アビゲイルちゃんは、相変わらず芸達者ですね。もお何か観ていて貫禄すら感じます。まだ13歳?いやあ、末恐ろしい。しかし本作で最も輝いているのは、ケイトを演じたソフィア・ヴァジリーヴァ嬢ですね。闘病生活の影響で殆んどのシーンがスキンヘッドだったのですが、暗さを感じさせず、むしろ前向きに明るく生きたケイトを、弾けんばかりに熱演しています。うん、よ~くガンバった!
 女優陣に比べると、影が薄い気がする男優陣ですが、アレック・ボールドウィンが珍しく(?)“いいひと”を演じていて、強烈な印象を残してくれます。何か顔は悪そうなんですけどね(^^;。そして今回何と言ってもよかったのが、父親ブライアンを演じたジェイソン・パトリックでしょう。妻ほど熱情的にはなれないけれど、家族みんなのことを常に考え、影で支える朴訥な父親を、とても地味ではありますが好演しています。特にケイトがドレスアップしてパーティに向かう際に、ブライアンの前に立つシーンでの彼の演技・表情には、娘を持つ同じ父親として吾輩、号泣させられてしまいました。しばらく見なかった(一時、アイドル的に売れましたモンね「スピード2」「スリーパーズ」なんかで)気がしますが、いい役者さんになりましたね~。

 『ドナーとしての子供を産むことは、許されるのか?』『アナが、ドナー提供を拒否することで、ケイトが死ぬのは仕方ないのか?』『母であるサラは、どこまで娘・アナに無理を要求できるのか?』倫理的に突き詰めて考えて行っても、答えの出せない問いかけが、この映画にはたくさん出てきます。吾輩も観ていて『いや、それはアカンやろう?』『でも、そうしたらもっとヒドいことになるか…』と、ずっと自問自答してしまいました。答えなんぞは出てこないのですが。でも、この映画のラスト近くで『アナが何故、両親を訴えたか?』という問いの答え(結末)は、とてもとても辛いけど、愛に満ち溢れた純粋な想いの結晶であると、吾輩は感じました(あまり詳しく書いてしまうと《ネタバレ!》になってしまいますので、控えます)。それが正しい答えなのかは、誰にも判断できないと思いますが、“家族愛の一つの究極の形”であるとは言えると思います。抱く思いは色々違えど、皆が皆自分のこと以上に家族のことを思い、考えている…。素晴らしい家族の絆が、スクリーンに描かれる“出色の1作”です。


 「私の中のあなた」は、10月9日(金)~全国ロードショーです。家族愛に溢れた、心に優しい1本をあなたも是非!映画館でご覧ください。

~追記~
 全米では初夏に公開されたそうで、興行成績は、あまりよくなかったようです。わかってないな~!こういう映画を観るならやっぱり“秋”ですよ…(^^;。

「私の中のあなた」の映画詳細、映画館情報はこちら >>

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by mori2fm | 2009-09-30 12:02 | 映画評 外国映画 ワ行 | Trackback(97) | Comments(14)

「ワールド・オブ・ライズ」嘘つきは、泥棒のはじまり…。

 レオナルド・ディカプリオラッセル・クロウ2大スター競演!そして監督は、リドリー・スコット「ワールド・オブ・ライズ」(ワーナー・ブラザース)。この豪華な顔合わせ、期待するなって方が無理ですよね。でも事前宣伝何か地味じゃないですか?思ったほど、盛り上がってないっちゅうか~。


 ロジャー・フェリス(レオナルド・ディカプリオ)は、CIAの中東現地工作員。日々、対テロ工作の最前線で命を張って戦っていた。その上司であるエド・ホフマン(ラッセル・クロウ)は、CIAの本部や自宅、時には子供の送迎中に電話でフェリスに指示を与えていた。2人は、テロ組織のリーダー、アル・サリーム(アロン・アブトゥブール)の身柄確保を目指していたが、現場で活動するフェリスと、机上で作戦を展開するホフマンとは主義が合わず、度々衝突を繰り返していた。或る日フェリスが得た情報から、サリームの隠れ家が発覚。ヨルダンに向かったフェリスは、現地でヨルダン情報局の責任者、ハニ・サリーム(マーク・ストロング)に会い、協力を要請。その信頼を得るが、ホフマンが実行した裏工作の煽りで、フェリスの行動は水泡と帰してしまう。そればかりかサリームの隠れ家も燃やされ、フェリスはハニに国外退去を命じられてしまう。業を煮やしたフェリスは、ホフマンにある作戦を提案する。それは、サリームをおびき出すため、サリームの組織に匹敵するテロ組織をでっち上げることだった…。


 これは実話ではないんですが、いかにもアメリカそれもCIAがやってそうやな~って感じの話です。しかも監督はリドリー・スコットなわけですから、もおリアリティありあり!そこへ持ってきてレオ様に、ラッセルという“超演技派2枚看板”が絡んでますので、更に拍車が掛かり、超迫真の“リアリティ・フィクション”に仕上がっています。そう、ストーリーの中で実行される作戦で、レオ演じるフェリス達は“嘘”をつくのですが、この映画は、観ている我々にまるでこれが実話であるかのように感じさせる…正に映画が“嘘”をついておる訳ですね。うん、こりゃ凄いですよ。ただ、後から少し冷静になって考えてみますと、この映画で展開されているストーリーってのは、相当トンでもないんですよ。いくら『世界を救うため』と信じて行なった事とはいえ『テロリストをでっち上げる』なんぞ、言語道断!でも、世界のどこかでホントにこんなことが行なわれているのかも…。あ、吾輩またその気になってる。ああ、すっかりこの映画の“嘘”に騙されてる~!!

 ところで、ここ最近のレオ様はこういう“硬派”な役が続いてますね~。 前々作「ディパーテッド」、前作「ブラッド・ダイヤモンド」そして本作と、一昔前の“繊細な美少年”とは決別した“タフでワイルドな男”を熱演しています。髭もなかなかお似合いで。大人の俳優として、もお充分な貫禄を持ち合わせていますね。この演技で、またオスカーにノミネートされるのでしょうか(吾輩的には「ブラッド・ダイヤモンド」の時の方が、インパクトは感じたのですが…)?コレに対抗するラッセル・クロウも、貫禄の“受け”の演技を堂々と見せてくれます。特に今回は“メタボ気味の上司”という役柄に、体重増加で臨み見事に成りきっています。そう、“イヤな上司”に。レオ様の“熱血直球演技”を受けるのは、ラッセルくらいの名役者でないと務まらなかったでしょう。そういう意味で、このキャスティングは大成功だったと思います。

 ただ、扱っているテーマがテーマ(中東での対テロ組織戦)ですので、如何に大作と言えども派手さは感じられません。リドリー・スコットが入念に撮りあげた映画ですから、非常に質は高く、決して間違いはないのですが、興行的にはしんどいでしょうね。全米でも苦戦したようですしね。でも、観て損は無い1本ですよ。


 「ワールド・オブ・ライズ」は、12月20日(土)より全国ロードショーです。世界を救うための“嘘”を、あなたも是非映画館で目撃してください。


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by mori2fm | 2008-11-27 01:33 | 映画評 外国映画 ワ行 | Trackback(87) | Comments(6)

「ワールド・トレード・センター」事実は、何物より重い…。

 “NY同時多発テロ”から5年。あの惨劇の裏側で繰り広げられた人間ドラマを描いた映画「ワールド・トレード・センター」(UIP)。監督はあのオリバー・ストーン!一体どんな作品に仕上がっているのでしょうか?


 2001年9月11日。ニューヨークの“世界貿易センタービル(ワールド・トレード・センター)”に、航空機が突っ込み爆発炎上。周囲はパニックに陥った。ニューヨーク各所から警察・消防が出動し、避難・消火・救出に取り掛かった。港湾警察のマクローリン(ニコラス・ケイジ)達にも出動要請が下る。現地へ向かったマクローリン達は、貿易センタービルの惨状を目の当たりにして、息を呑む。マクローリンは部下のヒメノ(マイケル・ペーニャ)等数名と共に救出活動の為、ビル内へ。地階へ降りて装備を準備している最中、轟音と共にビルが崩落する…。


 『オリバー・ストーンが、“9.11”の映画を撮る』というニュースを聞いたとき、正直『大丈夫かあ?』という思いが真っ先によぎった。何せ前作「アレキサンダー」は、“血まみれ歴史絵巻”だったし、「ナチュラル・ボーン・キラーズ」「エニイ・ギブン・サンデー」を撮った監督サンですよ。あの過激なノリで、“NY同時多発テロ”を描かれたらアメリカで猛反発喰らうだろうし、かと言って「JFK」「ニクソン」のような感じで迫られても、まだ5年しか経過していない事件に対しては生々しすぎるからな~と、果たしてどんな映画に仕上がるのだろうか、かなり気になっておりました。
 で、結論から申し上げますとオリバー・ストーン作品にしては珍しく、非常に主義主張を抑えた静かな作品に仕上がっています。『テロが何故起こったのか?』とか『あれは、本当にテロだったのか?』とかいうようなこれまでなら、必ず飛びついていそうなテーマには一切触れずに、ビルの崩落に巻き込まれた警官の様子と、その家族の思いを中心に淡々と撮りあげています。ですから逆に「JFK」のようないかにも“オリバー・ストーンの映画”と言ったノリを期待して観に行くと、肩透かしを喰らいます(現にあちこちのサイトなどで、『期待ハズレだった』という声を目にします)。確かに主人公が結構アッサリ瓦礫の下敷きになってしまいますし、救出されるまでそのまま動けないシーンが延々と展開されますから、映画として非常に地味でございます。極端な言い方をすれば『別に貿易センタービルの崩落でなく、大地震の映画でもよかったんじゃないか?』とも思えてしまう感じなのです。しかし、これはこれでよかったのではないでしょうか?この映画は、あの現場から実際に生還した人達の実話(無論、多少なりとも脚色はされているでしょうが)を基にしています。そして、あの狂気の現場で如何に多くの“人間による善”が行なわれたかを描き出しています。オリバー・ストーン監督は、どこまでも“人間”という生き物の持つ“善い”可能性を信じて、それを映画の主題に据えたのではないでしょうか。

 瓦礫に埋もれ、行方不明となった主人公。そしてその安否を気遣う家族たちの描き方も、非常に胸に迫るものがありました。ただ、これをあの事件の遺族が見たら、やはり複雑な思いを抱くでしょうね。そういう意味で、アメリカ本国では思ったほど興行成績が伸びなかったのではないでしょうか?まだ、リアルすぎるのかも知れません。


 「ワールド・トレード・センター」は、只今絶賛公開中です。狂気の現場で繰り広げられた、人間ドラマを映画館で是非、ご覧下さい。
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by mori2fm | 2006-10-27 01:37 | 映画評 外国映画 ワ行 | Trackback(5) | Comments(6)
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