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 20世紀前半の、アメリカを代表する作家として現在も愛されているトマス・ウルフ。そしてそのウルフの才能を信じ、世に送り出した名編集者マックス・パーキンズ。そんな2人の男の友情と葛藤を描いた本作「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」(ロングライド)コリン・ファースジュード・ロウが初共演!なかなか骨太な1本です。


 1929年ニューヨーク。出版社の編集者マックス・パーキンズ(コリン・ファース)の許に、膨大な枚数の原稿が持ち込まれる。あちこちたらい回しにされ、たどり着いたこの“超大作”を何気なしに読み始めたマックスは、たちまち魅了される。翌日、この小説の作者である無名のトマス・ウルフ(ジュード・ロウ)が出版社へやって来る。マックスが出版する旨を伝えると、トムは感激のあまり涙ぐむ。但し、出版するには膨大過ぎる原稿を短くする必要があった。この原稿を削除する共同作業の中で、マックスとトムの間には友情が芽生え、やがてそれは親子の情にも似た深い絆へとなっていく。そして出版されたトムの処女作「天使よ故郷を見よ」は、またたく間にベストセラーとなった…。

 冒頭に色々書いておりますが、吾輩この映画を見るまでトマス・ウルフという作家のことを、全然知りませなんだ。そうなると必然的に編集者マックス・パーキンズのことなんか、言うまでもなく…(爆)。ごめんなさい。でも、20世紀前半のアメリカ文学事情にトンと疎い吾輩でも、この映画は興味深く見ることが出来ました。それは非常に魅力的なストーリー(実話ですよね。歴史モノが好きな方は特に惹かれますよ)と、それを演じるキャスト陣に依るところが大きいと思います。特に主演の2人の初共演って言うのには、鑑賞前からそそられましたし、実際にスクリーンで見ると作家と編集者という或る意味家族以上に信頼で結ばれている関係の男2人を、非常に熱演しています。編集作業過程で繰り広げられる2人の丁々発止のやり取りは、まるでスクリーンに火花が散らん如き勢いでした。更にトムのパトロンで愛人のアリーン・バーンスタインを演じたニコール・キッドマンが、トムとマックスの関係に嫉妬し敵意を燃やす女性の少々狂気じみた姿を、迫真の演技で見せてくれます。貫禄です。それとは真逆のポジションとして、夫を理解しつつも許せない所は指摘するという、マックスの妻・ルイーズを演じたローラ・リニーの好演も作品のいいアクセントとなっています。この4人の関係性が絶妙な距離感で描かれているのも、見ていて惹きこまれたポイントです。
 作中には他にも実在した有名な作家「老人と海」のアーネスト・ヘミングウェイ(ドミニク・ウェスト)と「グレート・ギャツビー」のF・スコット・フィッツジェラルド(ガイ・ピアーズ)が登場します(一応。この2人くらいは知ってました!)が、実は彼らも無名時代にマックスにその才能を見出され、世に送り出されたのです。作家が世間に認められるための第一の関門、それが“編集者”だと言えるでしょう。マックスはただ関門であっただけでなく、支え時には寄り添い、時には叱咤して、その作家を育て上げていきます。しかしトムとの関係は、決して順調なものばかりでは無かったことが映画の中で描かれています。残念ながらトムは37歳の若さでこの世を去ってしまうのですが、彼がもし、もっと長く生きていたら、そしてマックスとの関係を修復させられたら、果たしてどれほどの大作家になっていただろうか?吾輩、映画を見ていてそんな思いにも駆られました。

 この映画の監督は、これが映画監督デビューとなるマイケル・グランデージ。しかしこの方、“トニー賞受賞のイギリス演劇界の鬼才”なんだそうで、その舞台演出キャリアは輝かしいモノです。今回、満を持しての映画監督デビュー。この辺りも見所の一つです。

 「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」は、10月7日(金)~TOHOシネマズシャンテで先行公開の後、14日(金)~全国順次公開です。1本の名作“ベストセラー”が生み出される瞬間を、あなたも是非!映画館でご覧ください。

映画『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』 - シネマトゥデイ

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by mori2fm | 2016-10-03 22:15 | 映画評 外国映画 ハ行 | Trackback(9) | Comments(2)

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