2012年 10月 18日
「声をかくす人」彼女がかくし続けた物…。
[ロバート・レッドフォード] ブログ村キーワード

“名優”ロバート・レッドフォード5年ぶりの監督作品。「声をかくす人」(ショウゲート)。リンカーン大統領暗殺の共犯として、アメリカ合衆国史上初めて処刑された女性の物語を、丁寧に描き出しています。
南北戦争終結間近の1865年4月14日。観劇中のリンカーン大統領が、南部出身の俳優ジョン・ウィルクス・ブースによって暗殺される。北軍の陸軍長官・スタントン(ケヴィン・クライン)は、総力を挙げて犯人を追跡。ブースは逃亡中に射殺され、8人の共犯者が逮捕された。その中には、南部出身の宿屋の女主人、メアリー・サラット(ロビン・ライト)が含まれていた。軍法会議で裁かれることになったメアリー達。元北軍大尉のフレデリック・エイキン(ジェームズ・マカヴォイ)は、元司法長官のジョンソン議員(トム・ウィルキンソン)からメアリーを弁護するよう、半ば強制的に依頼される。メアリーの罪状は、ブース達へのアジトの提供だったが、彼女は一貫して無罪を主張する。最初は疑っていたフレデリックも、メアリーと接するうちに次第に彼女の無罪を確信し始めるのだが…。
非常に見応えのある、“歴史・ヒューマン・ドラマ”です。世界的に有名な“リンカーン暗殺”。しかしそれに絡んで、1人の女性がこのような形で処刑されていたという事実は、アメリカでさえあまり知られていないことなんだそうですし、吾輩なんぞはまったく知りませんでした。この映画は、その事実に光を当て、『真の正義とは何ぞや?』と観る者に強烈に問い掛けてきます。レッドフォードの真摯な演出が、上手くテーマと相まって、この映画を派手ではないものの、“良心的な佳作”に 仕上げています。
メアリーは、最後まで何かを隠し、それが原因で刑に処せられます。この映画ではそれを逃亡を続ける息子を庇ってのことという描き方をしています。ホントに『親の心、子知らず』を地で行くような展開で、この息子に観ていて無性に腹立たしさを感じました。だってこの息子、メアリーの処刑後に結局は捕まって、自身は一般法廷で裁かれ、あろうことか無罪放免となったのですから…。歴史的事実ですから仕方ありませんが、何とも腹立たしく、釈然とせんお話ですわ!ただ、当時の北軍サイドが、『何としても犯人達に厳罰を!』という姿勢で臨んだという点は、理解出来ます。不安な国情を、判決によって団結する方向へ持っていこうと考えるのは、いつの世にも共通する政治手法だと言えるからです。ただそれが正義に反するかどうかは、別問題ではありますが。
ジェームズ・マカヴォイは、こういう“誠実な青年”を演じさせると、天下一品ですね。これにいかにも薄幸そうなオーラの滲むロビン・ライト、そしてケヴィン・クライン、トム・ウィルキンソンの“大御所クラス”が絡み、実に絶妙で見応えのある演技合戦がスクリーンに展開されます。ホント一見の価値ありです!
「声をかくす人」は、10月27日(土)~東京を皮切りに全国順次公開です。知られざる歴史の裏側の悲劇を、あなたも是非!映画館で目撃してください。
・声をかくす人@ぴあ映画生活

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“名優”ロバート・レッドフォード5年ぶりの監督作品。「声をかくす人」(ショウゲート)。リンカーン大統領暗殺の共犯として、アメリカ合衆国史上初めて処刑された女性の物語を、丁寧に描き出しています。
南北戦争終結間近の1865年4月14日。観劇中のリンカーン大統領が、南部出身の俳優ジョン・ウィルクス・ブースによって暗殺される。北軍の陸軍長官・スタントン(ケヴィン・クライン)は、総力を挙げて犯人を追跡。ブースは逃亡中に射殺され、8人の共犯者が逮捕された。その中には、南部出身の宿屋の女主人、メアリー・サラット(ロビン・ライト)が含まれていた。軍法会議で裁かれることになったメアリー達。元北軍大尉のフレデリック・エイキン(ジェームズ・マカヴォイ)は、元司法長官のジョンソン議員(トム・ウィルキンソン)からメアリーを弁護するよう、半ば強制的に依頼される。メアリーの罪状は、ブース達へのアジトの提供だったが、彼女は一貫して無罪を主張する。最初は疑っていたフレデリックも、メアリーと接するうちに次第に彼女の無罪を確信し始めるのだが…。
非常に見応えのある、“歴史・ヒューマン・ドラマ”です。世界的に有名な“リンカーン暗殺”。しかしそれに絡んで、1人の女性がこのような形で処刑されていたという事実は、アメリカでさえあまり知られていないことなんだそうですし、吾輩なんぞはまったく知りませんでした。この映画は、その事実に光を当て、『真の正義とは何ぞや?』と観る者に強烈に問い掛けてきます。レッドフォードの真摯な演出が、上手くテーマと相まって、この映画を派手ではないものの、“良心的な佳作”に 仕上げています。
メアリーは、最後まで何かを隠し、それが原因で刑に処せられます。この映画ではそれを逃亡を続ける息子を庇ってのことという描き方をしています。ホントに『親の心、子知らず』を地で行くような展開で、この息子に観ていて無性に腹立たしさを感じました。だってこの息子、メアリーの処刑後に結局は捕まって、自身は一般法廷で裁かれ、あろうことか無罪放免となったのですから…。歴史的事実ですから仕方ありませんが、何とも腹立たしく、釈然とせんお話ですわ!ただ、当時の北軍サイドが、『何としても犯人達に厳罰を!』という姿勢で臨んだという点は、理解出来ます。不安な国情を、判決によって団結する方向へ持っていこうと考えるのは、いつの世にも共通する政治手法だと言えるからです。ただそれが正義に反するかどうかは、別問題ではありますが。
ジェームズ・マカヴォイは、こういう“誠実な青年”を演じさせると、天下一品ですね。これにいかにも薄幸そうなオーラの滲むロビン・ライト、そしてケヴィン・クライン、トム・ウィルキンソンの“大御所クラス”が絡み、実に絶妙で見応えのある演技合戦がスクリーンに展開されます。ホント一見の価値ありです!
「声をかくす人」は、10月27日(土)~東京を皮切りに全国順次公開です。知られざる歴史の裏側の悲劇を、あなたも是非!映画館で目撃してください。
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by mori2fm
| 2012-10-18 00:36
| 映画評 外国映画 カ行