2014年 05月 06日
「ブルージャスミン」イタいな~、イタ過ぎるよな~。

しばらくヨーロッパを徘徊…、放浪…、もとい!ヨーロッパを拠点に、各地(ロンドン、バルセロナ、パリ、ローマetc,etc)で映画を撮っていた“名匠”ウディ・アレン 監督が、アメリカへ戻って撮った新作「ブルージャスミン」(ロングライド)。アメリカとは言っても本作は、アレン監督にとって初の西海岸を舞台とした作品でございます。う~ん、老いて益々お盛んですな。
ジャスミン(ケイト・ブランシェット)は、ニューヨーク・セレブ界の花的な存在だったが、夫で実業家のハル(アレック・ボールドウィン)との結婚が破綻し、今や資産も没収され無一文の身。同じ里親に育てられた異母妹のジンジャー(サリー・ホーキンス)を頼ってサンフランシスコへやって来たのだが、セレブ気質の抜けないジャスミンはジンジャーの質素なアパート暮らしや、自分とは正反対の男の趣味に難癖をつける始末。おまけに人生の再出発を計ろうにも、何のプランも持ち合わせておらず、何をやっても上手くは進まなかった。そんな或る日、とあるパーティーに出掛けたジャスミンは、政界進出の野望を抱くエリート外交官のドワイト(ピーター・サースガード)と知り合う…。
ヨーロッパで、ロマンティック・コメディ路線の映画(「マッチポイント」はともかく「タロットカード殺人事件」に「それでも恋するバルセロナ」、「恋のロンドン狂想曲」、「ミッドナイト・イン・パリ」に「ローマでアモーレ」…、こう書くとホンマにロマ・コメのオン・パレード!)を撮って好評だったウディ翁(もお、この方も78歳!)が、初上陸のアメリカ西海岸で何とも辛辣でシニカルでイタ~イお話を撮らはったモンです。1人の女性の栄光の日々からの転落、それもかなりドン底までの転落劇を皮肉とか同情などは込めずに、淡々と冷静な視点から描き出しています。更に当事者であるジャスミンとの対比に、正反対とも言える人物であるジンジャーを置くことで、ジャスミンの社会に於ける特異性を際立たせています。もおねジャスミンの行動やら態度にイライラするわ、痛々しいわで見ていて大変な映画でございますわ。そういう風に思わせるケイト・ブランシェットの上手いこと!オスカー受賞も納得のまさに“迫真”の演技でございました。いますよね?自分の置かれた立場を正確に把握できず(認められず)に周りのせいにばかりして、世間をお騒がせする人!そおこの映画を見ていて『ああ、いるいる!こういうイタい人』って、吾輩は心中でつぶやいていました。こういう風に思わされてしまう…、名監督の演出と名女優の名演技に酔いしれるのが、この映画の一番の楽しみ方だと思います。
辛辣な映画とは書きましたが、随所に従来からの“ウディ・アレン節”とも言える演出も健在でして、特に場面転換での音楽の使い方などには、『ああ、ウディ・アレンの映画や!』とニンマリさせられてしまいました。辛辣ではあるのですが、アレック・ボールドウィン演じるジャスミンの夫・ハルの転落っぷりには思わず笑ってしまいました。あ、怖いな~っていう意味でですよ!それから作中、セレブ崩れのジャスミンの勘違いファッションは、シャネルやエルメスなど一流ブランドのオン・パレードですので、そちら方面にご興味のある方は特に必見でございます(吾輩は、さっぱりなんですけどね~(^^;)。
あと、ジンジャーの前夫・オーギー役にアンドリュー・ダイス・クレイがキャスティングされていたのにも、驚かされました。80年代を騒がせた過激なコメディアンが、本作では一番まともな人物を演じていたのも、ウディ流キャスティングの妙と言えるのではないでしょうか?
「ブルージャスミン」は、5月10日(土)~全国ロードショーです。“1人の女性の壮絶な転落っぷり”とそれを演じてアカデミー賞に輝いた名女優の名演技を、あなたも是非!映画館でご覧ください。
吾輩、You Tubeで語っております!
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