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「蜩ノ記」忘れちゃいけない、日本人の心。

[葉室麟] ブログ村キーワード
 直木賞受賞の時代小説の映画化。「蜩ノ記」(東宝)。『日本映画の王道極めたり』と言いたくなるような、まさに“良作”でございます。

 城内で刃傷騒ぎを起こした檀野庄三郎(岡田准一)は、家老の温情で切腹を免れたものの、7年前に藩主の側室との不義密通の罪で10年後の切腹と家譜の編纂を命じられ、幽閉されている戸田秋谷(役所広司)の監視を命じられる。秋谷の切腹の期日まで寝食を共にし、家譜の編纂を手伝いながら秋谷の誠実な人柄を目の当たりにするうちに、庄三郎は秋谷に敬愛の念を抱き、次第にその無実を確信するようになる。やがて庄三郎は、秋谷が切腹を命じられる原因となった側室襲撃事件の裏に隠された、もう1人の側室の出自に関する重大な疑惑に辿り着く…。


 原作は葉室 麟さんによるベストセラー小説で、2012年 第146回直木賞受賞作。そしてこの映画を撮られたのは、小泉尭史監督故 黒澤明監督の愛弟子で、かつてはその再来とも呼ばれた小泉監督も、もはや“名匠”と呼ばれる域に達して来られたと思わせる演出表現力で、日本の美しい原風景に宿る日本人の崇高で美しい心を、スクリーンに描き出しています。決して派手な映像などではなく、本当に淡々とした…しかし心に深~く染み入ってくる映像です。

 主人公・秋谷の、死を受け入れた崇高な生き様。その秋谷の無実を信じつつも、運命を受け入れその最期の日まで、献身的に夫を支える妻・織江(原田美枝子)とが織り成す“夫婦の愛”。秋谷と、娘・薫(堀北真希)、息子・郁太郎(吉田晴登)とが織り成す“家族の愛”。そしてはじめは秋谷に不信を抱きつつも、その人柄に触れるにつれ秋谷を慕い、やがては人生の師と仰ぐようになる庄三郎との“師弟の愛”と、この映画ホントに気高い愛で満ち溢れています。

 今の世の中、失敗しても大概の事は謝れば済みます。最近は謝ることすらしない輩もおります。この映画が描いている武士の時代、責任の取り方は“切腹=死”でございました。そんな時代だったからこそ、人はひた向きに真剣に日々を生きていたんじゃないでしょうか?その気高い生き様が、加古隆 さんによる音楽と共に、本当に美しく描かれています。何となくもの悲しい昨今ですが、見終わった後に本当に心にじんわりと染み入ってくる日本映画の“良作”です。

 「蜩ノ記」は、ただいま公開中です。現代日本人が、ともすれば忘れがちな“日本人の生き様”を、あなたも是非!映画館でご覧ください。

映画『蜩ノ記(ひぐらしのき)』 - シネマトゥデイ

蜩ノ記〈ひぐらしのき〉@ぴあ映画生活



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by mori2fm | 2014-10-05 19:59 | 映画評 日本映画 は行