2015年 09月 24日
「岸辺の旅」死を超えた純粋なる“夫婦愛”

『世界のクロサワ』と言えば、かつては黒澤明 監督のことだったと思いますが、今やこの方黒沢清 監督も、そんな風に呼ばれるようになってきましたね。その黒沢監督に第68回カンヌ国際映画祭 ある視点部門 監督賞”をもたらせた本作、「岸辺の旅」(ショウゲート)。深津絵里・浅野忠信のW主演。意外にも今回が初共演なんだそうです。
夫・優介(浅野忠信)が失踪して以来、瑞希(深津絵里)は方々を探し続けたが、何の情報も得られないまま3年の月日が流れた。そんな或る日、近所のスーパーで優介の好物だった白玉の材料を手にした瑞希は、その夜キッチンで丁寧に白玉を練って作り出す。するとそこへ現れる優介。驚く瑞希に優介は『俺、富山の海で死んだよ』と告げる。そして瑞希の許に戻るため長い旅をしてきたと話した優介は、自分が旅してきた“きれいな場所”を再び訪れたいと『一緒に来ないか?』と瑞希を誘う。もうひとときも夫と離れたくない。瑞希は優介と旅に出ることを決意する…。
原作は湯本香樹実 さんが2010年に発表した小説。実はこの映画は黒沢監督にとって、初の“ロードムービー”なのです。しかも『死んだ人間が、自らが死んでからの数年間を、生きている妻と共に検証していく』という、一歩間違えると“トンデモ映画”になってしまいそうな設定を、死を超越した“夫婦の愛”を変に奇をてらわず真正面から捉えることで、淡々とした中にもとても強く、それでいて優しい人間の本質を描き出すことに成功しています。また、昔ながらの大衆食堂や商店街、山間の農村やタイトルにもある岸辺など、“日本の原風景”とも言えるどこか懐かしい風景のロケーションが、見ている我々日本人の心に深く語り掛けてくる…、そんな気がしました。黒沢清監督作品としては初めてのシネマスコープサイズの映像も、それらの印象を強くするのに、効果的だったと思われます。
深津絵里、浅野忠信のご両人は、それぞれとても上手に3年間離れていた夫婦を絶妙な距離感で演じています。ホントにお2人とも日本を代表する俳優さんになられましたね~。それから旅の途中で夫婦が出会う人々を小松政夫、柄本明、蒼井優といった面々がイイ味出して演じて、脇を固めています。特に蒼井優ちゃん!この映画は日本の原風景をバックに描いた正に“ファンタジー”のような映画ではあるのですが、作中には男女の下世話なお話もキチンと描かれておりまして、それに絡んだシーンで深津絵里さんと対峙する蒼井優ちゃんの演技は、時間にしてごくごく短い登場にも関わらず、強烈なインパクトを残してくれます。いやあ~、女性って本当に恐いですね~(^^;。
「岸辺の旅」は、10月1日(木) 映画サービスデーから全国ロードショーです。失われた時を巡り、『さようなら』を言うための旅をする夫婦の“愛の物語”を、あなたも是非!映画館でご覧ください。
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