2016年 01月 07日
「ブリッジ・オブ・スパイ」世界を救った男の物語。

“監督 スティーヴン・スピルバーグ”“主演 トム・ハンクス”“脚本 イーサン&ジョエルのコーエン兄弟”。各部門でそれぞれ2度のアカデミー賞に輝く彼等が集結した、或る意味夢のような映画「ブリッジ・オブ・スパイ」(20世紀フォックス)。米ソ冷戦下に於ける世界戦争の危機回避を担ったごく普通の、しかし強い正義感を持った男の実話を基にした物語です。
アメリカとソビエトが冷戦状態にあった1957年。ニューヨーク在住のルドルフ・アベル(マーク・ライランス)という男が、ソビエトのスパイとして逮捕される。アベルを裁判で弁護する国選弁護人に選ばれたのは、ジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス)。優秀な弁護士であるドノヴァンは、敵国の人間を弁護することに躊躇しつつも、『どんな人間にも等しく公平な裁判を受ける権利がある』という正義の原則を貫くため、アベルの弁護を引き受ける。その裁判の過程で接しているうちに、ドノヴァンとアベルの間には、互いへの理解と尊敬が芽生えていく。果たして死刑が確実と思われていた、アベルの判決は?そして、この2人の出会いが、後に米ソ冷戦の最中に起きる或る重大事件の解決のカギへとつながっていく…。
アベルを演じているのは、イギリス出身の名舞台俳優マーク・ライランス。彼は本作の演技で、今幾つかの映画賞の助演男優賞を受賞しています。アカデミー賞の有力候補の1人とも言って間違いないでしょう。確かに見た感じは、どこにでもいるごく普通の初老の男なんですが、スクリーンに映る何とも説明のつかないる“圧倒的な存在感”は、ライランスが舞台で培ってきたキャリアから滲み出てくる物なんだと思います。それに対峙する形のトム・ハンクスは、典型的な“善良な普通のアメリカ人”というキャラの役を、今回も非常に上手く演じています。こういう役を演じさせると、恐らく今のハリウッドでは、彼の右に出る人はいないのではないでしょうか?もお、ホントに“名優”が板に付いちゃいましたよね?先日TVでたまたま、トムの初期の出演作である「スプラッシュ」(この映画、吾輩は大好き!でございます)を見たんですが、当時誰がトム・ハンクスの今の姿を想像出来たでしょう?また久しぶりにハジケてズッこける役とか、究極の悪役なんかを演じるトムの姿を見てみたいなんて思うのは、吾輩だけですかね??
スピルバーグお得意の“歴史の暗部に光を当てる”という作業に、コーエン兄弟による緻密で練られた脚本が重なり、非常に重厚な映画になっていますが、エンタテインメント作品としても一級品の出来映えだと思います。2時間22分というなかなか長尺な上映時間になっていますが、決して長いとは感じませんでした。特に世界戦争勃発の危機を、未然に回避しようと奔走するドノヴァンの姿や、その交渉過程。一枚岩のように思われていた旧社会主義国家が、裏では国家間で激烈な主導権争いを繰り広げていた(本作で描かれているのは、ソビエトと東ドイツ)様などは、見ていてスリリング(さすがに時代が時代なので、スピーディーさには欠けますが)で、飽きることなく惹き込まれました。さすが、チーム・スピルバーグ!磐石のお仕事でございますね。
「ブリッジ・オブ・スパイ」は、明日1月8日(金)~全国ロードショーです。1歩間違えば滅亡していたかも知れない世界を、未然に救った“普通の男”の物語をあなたも是非!映画館でご覧ください。
映画『ブリッジ・オブ・スパイ』 - シネマトゥデイ
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