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「パッション」痛い…心が痛い…。

「パッション」痛い…心が痛い…。_a0014708_102717.jpg ようやく「パッション」(日本ヘラルド)を観ることができた。

 キリスト教という宗教的なバックボーンを持たない、日本人である私にこの作品の裏側にある、“宗教的な何か”を読み解くことは出来なかったし、それはむしろ当然であろうと思う。

 巷で噂されていたように、イエス(ジム・カヴィーゼル)が十字架に磔られるまでを描いた拷問シーンは、かなり凄惨な映像に仕上げられている。しかし、この映画を観て、心底私が『恐ろしい』と感じたのは、“殺人をも犯すことが出来る、群衆心理”の描かれ方であった。ユダヤの司祭達に金を渡されて、賑やかしのためだけに集められた、事態をよく理解していない群衆が、ただ面白半分に『イエスに死を!』と叫ぶ。拷問、処刑を見せ物感覚で捉えている“一般大衆”という名の暴徒…。
 現代に、このようなまでの無法な場は存在し得ないと思われるが、いつ何どきでも
この群衆の立場になる素養を、私を含めた誰しもが持ち合わせているのだと思うと、何とも言えない恐怖感が押し寄せてきて、胸が苦しくなった。

 観た者の心に深々と突き刺さる…そんな作品だった。

 「パッション」は只今好評上映中です。あなたも自身の原罪を見つめるために、映画館へ足を運んでみませんか?
 
by mori2fm | 2004-05-21 01:38 | 映画評 外国映画 ハ行