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「ホテル・ルワンダ」とにかく観ろ!!

 以前から何度か紹介してきた「ホテル・ルワンダ」(メディア・スーツ)を、ようやく観ることができた。「哀しい」だの「泣ける」だの「涙が止まらない」だのといったような陳腐な言葉では表現できない。正に観終わって、言葉が出てこない映画だ。


 ルワンダの首都キガリにある、四つ星ホテル“ミル・コリン”の支配人・ポール(ドン・チードル)は、優秀なホテルマン。愛妻タチアナ(ソフィー・オコネドー)と、子供たちにも恵まれ日々充実した生活を送っていた。ルワンダでは、長い間フツ族とツチ族による民族紛争が続いていた。和平協定によって、何とか平穏が保たれていたが1994年、大統領が暗殺された事を機に、フツ族の民兵が武装蜂起しツチ族を根絶やしにせんと、大虐殺を開始する。フツ族のポールは、ツチ族であるタチアナや、隣人たちを守る為ホテルへ駆け込む。そして国連や西側の関係者に救助を依頼する。しかし平和維持軍として、ホテルに滞在していたオリバー大佐(ニック・ノルティ)は『監視するだけで、手は出せない』と言い、取材に来ていたジャーナリストのジャック(ホアキン・フェニックス)は、ポールに『西側諸国は、君らを見捨てる』と告げる。それらの言葉を俄かには信じられなかったポールだが、やがて恐ろしい現実を思い知らされる。西側諸国は、自国民の安全確保のみを行い、ルワンダから脱出させたのだ。残されたのは、申し訳程度の人数の平和維持軍と、フツ族の武力の前に無力なツチ族だけだった。世界から孤立し、生命の危機にさらされた人たちを救うポールの戦いが始まった…。


 
 何が恐ろしいって、この映画は実話がベース…と言うより、殆どが実話だということである。しかも、それは遠い過去のことではなく、わずか12,3年前の出来事…本当に、ついこの間の出来事なのである。この文明や、情報が進んだ現代社会で何の罪も無い人々が100万人規模で虐殺されたのだ。“民族根絶”などという、トンでもない妄想の為に。吾輩はルワンダの事情に詳しいわけでもないから、『そもそもどちらの民族が正しいのか?』なんてことは、語れない。しかし事の成り行きがどのようになっていようと、100万などという夥しい数の人命が一方的に奪われることなど、言語道断である。そのような事態を国際社会は“見て見ぬふり”をしていたのだ。これはハッキリ言って“同罪”いや、“それ以上の罪”を犯したことに相当すると思う。作中ジャックがポールに向けて言う台詞を聞いて、戦慄を覚えた。曰く『君たちはアフリカ人だ、ニガーでさえない…』何と恐ろしい言葉だろうか!しかし現実とは、こんなモノなのだ。


 ポールのことを“アフリカのシンドラー”と称す人がいるらしいが、あえて吾輩はその意見に異を唱えたい。シンドラーは、ユダヤ人を“労働力”として救っていた。しかしポールは愛する妻を、家族を、隣人をただ救いたかっただけなのだ。“虐殺”という理不尽で得体の知れない怪物から…。


 「ホテル・ルワンダ」は、ただいま全国各地で順次ロードショー公開中です。とにかく、映画館で観てください。この物語から、目をそらさずに。
 
by mori2fm | 2006-03-06 23:19 | 映画評 外国映画 ハ行