2006年 11月 20日
「手紙」“差別”と共に、生きていくということ。
犯罪被害者の側を描いた映画は、過去にもあったと思われますが、犯罪加害者の側を描いたモノは、あまり例がないんじゃないでしょうか。「手紙」(ギャガ・コミュニケーションズ)。テーマがテーマだけに、観ていてとても重かったです。昨今の“泣ける映画”とは同じ括りに出来ない映画です。
剛志(玉山鉄二)と直貴(山田孝之)は、両親の死後兄弟2人で助け合って生きてきた。直貴を大学へ行かせるために運送会社で働いていた剛志は、腰を痛め仕事を解雇されてしまう。何としても直貴の学費を捻出せんとした剛志は、ある資産家の家に押入り、誤って家人の老女を殺害。裁判で無期懲役の判決を受け、刑務所に服役する。残された直貴は大学進学を断念。就職するも“殺人犯の弟”というレッテルが付いてまわり、それが発覚する度に職と住まいを転々とすることを余儀なくされた。そんな中でも、獄中の剛志からは近況を知らせる手紙が、滞ることなく送り続けられてきた。やがてある工場に就職した直貴は、素性が知られないよう出来るだけ周囲との接触を避け、日々を過ごしていた。そんな直貴に同じ通勤バスに乗り合わせる由美子(沢尻エリカ)が声を掛ける…。
前述しましたが、テーマがテーマですので本当に最初から重苦しいです。観ていてドンドン胸が締め付けられ、段々苦しくなってきました。そのくらい“差別による不幸の連鎖”が『これでもか!』と云わんばかりに続くのです。『かわいそう』などという一言では、到底済まされないような。しかしこの映画は“差別”を悪いことと認めながらも、『“差別”は決してこの世から無くならない。差別される側は、そのことも抱えて、生き抜いていかなければならない』と訴えているのです。吾輩、この考え方には目からウロコが落ちました。軽い気持ちで『差別反対』などと言うよりも、何倍も現実的で重みがある考えだと思いました。
玉山鉄二・山田孝之は、それぞれ熱演です(ただ山田君のお笑い芸人は、悲しいほど面白くなかったですが…爆)。そしてこの映画にも登場“カメレオン女優(笑)”沢尻エリカ!この秋、一体何回彼女をスクリーンで観たことでしょう。この映画でも、その芸達者ぶりをイカンなく発揮してくれています。しかし、普段の彼女とのギャップが彼女の女優としての評判を良くしているように思えるのは、吾輩だけでしょうか?
感動的なラストに、小田和正の「言葉にできない」が流れます。このまま終われば素晴しかったのですが、何故かエンドロール中に、もう1曲歌が流れます。個人的な感想ですが…『この歌、要らない!』…。
しかし、この手の“人権”“差別”をテーマに扱かってるような映画は、一昔前なら学校を巡回して上映されてたと思うのですが、今や全国一斉ロードショー扱いですよ。いくら原作が人気作家・東野圭吾氏の作品とは云え。この事柄一つ取ってみても、今の日本映画の勢いを感じさせられますね。
「手紙」は、ただいま絶賛公開中です。重い映画ですが、人間が生きていくために必要な、一筋の光を見せてくれるこの映画を、映画館で是非ご覧下さい。
「手紙」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
剛志(玉山鉄二)と直貴(山田孝之)は、両親の死後兄弟2人で助け合って生きてきた。直貴を大学へ行かせるために運送会社で働いていた剛志は、腰を痛め仕事を解雇されてしまう。何としても直貴の学費を捻出せんとした剛志は、ある資産家の家に押入り、誤って家人の老女を殺害。裁判で無期懲役の判決を受け、刑務所に服役する。残された直貴は大学進学を断念。就職するも“殺人犯の弟”というレッテルが付いてまわり、それが発覚する度に職と住まいを転々とすることを余儀なくされた。そんな中でも、獄中の剛志からは近況を知らせる手紙が、滞ることなく送り続けられてきた。やがてある工場に就職した直貴は、素性が知られないよう出来るだけ周囲との接触を避け、日々を過ごしていた。そんな直貴に同じ通勤バスに乗り合わせる由美子(沢尻エリカ)が声を掛ける…。
前述しましたが、テーマがテーマですので本当に最初から重苦しいです。観ていてドンドン胸が締め付けられ、段々苦しくなってきました。そのくらい“差別による不幸の連鎖”が『これでもか!』と云わんばかりに続くのです。『かわいそう』などという一言では、到底済まされないような。しかしこの映画は“差別”を悪いことと認めながらも、『“差別”は決してこの世から無くならない。差別される側は、そのことも抱えて、生き抜いていかなければならない』と訴えているのです。吾輩、この考え方には目からウロコが落ちました。軽い気持ちで『差別反対』などと言うよりも、何倍も現実的で重みがある考えだと思いました。
玉山鉄二・山田孝之は、それぞれ熱演です(ただ山田君のお笑い芸人は、悲しいほど面白くなかったですが…爆)。そしてこの映画にも登場“カメレオン女優(笑)”沢尻エリカ!この秋、一体何回彼女をスクリーンで観たことでしょう。この映画でも、その芸達者ぶりをイカンなく発揮してくれています。しかし、普段の彼女とのギャップが彼女の女優としての評判を良くしているように思えるのは、吾輩だけでしょうか?
感動的なラストに、小田和正の「言葉にできない」が流れます。このまま終われば素晴しかったのですが、何故かエンドロール中に、もう1曲歌が流れます。個人的な感想ですが…『この歌、要らない!』…。
しかし、この手の“人権”“差別”をテーマに扱かってるような映画は、一昔前なら学校を巡回して上映されてたと思うのですが、今や全国一斉ロードショー扱いですよ。いくら原作が人気作家・東野圭吾氏の作品とは云え。この事柄一つ取ってみても、今の日本映画の勢いを感じさせられますね。
「手紙」は、ただいま絶賛公開中です。重い映画ですが、人間が生きていくために必要な、一筋の光を見せてくれるこの映画を、映画館で是非ご覧下さい。
by mori2fm
| 2006-11-20 00:50
| 映画評 日本映画 た行





