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「ブラックブック」映画バカ一代・バーホーベン監督、健在!

 「ロボコップ」「トータル・リコール」「氷の微笑」「ショーガール」「スターシップ・トゥルーパーズ」「インビジブル」…。これまでの彼の作品ラインアップを見れば、如何に彼が“愛すべきバカ映画監督”であるかが、おわかりいただけると思います。そう、彼の名は…ポール・バーホーベン。そんな彼がハリウッドを飛び出し、23年ぶりに故国オランダで作ったのが本作、「ブラックブック」(ハピネット/東芝エンタテインメント)。これまた、どんなとんでもない映画なのかと興味半分、期待半分で観に行ってまいりました。

 
 1944年、ナチス・ドイツ占領下のオランダ。隠れ家を爆撃で失った、ユダヤ人・ラヘル(カリス・ファン・ハウテン)は、レジスタンスの手引きで占領から解放された南部へ船での脱出を計るが、その途中ドイツ軍の襲撃を受け、目前で家族を皆殺しにされてしまう。すんでのところで川へ飛び込み難を逃れたラヘルは、レジスタンスに助けられる。そして、ブルネットだった髪をブロンドに染め、エリスという偽名を名乗り、レジスタンスの組織で働くことを決める。やがてエリスは、レジスタンスのスパイとしてドイツの諜報機関に潜入。ドイツ軍の将校・ムンツェ(セバスチャン・コッホ)に近付いていく…。


 ゴメンナサイ…m(_ _)m。冒頭で散々『バカ、バカ』と言っちゃいましたが、非常に真面目に作られた映画です。見応え充分の2時間24分でございます。この映画、オランダ映画史上過去に類を見ない制作費(日本円で約25億円!)が掛かったそうで、オランダだけでは賄いきれない…ってことで、ドイツ、イギリス、ベルギーにも声を掛けて、4カ国合作という国際的なプロジェクトとして完成したんだそうです。それだけにストーリーも重厚で、戦争映画でありながら人間ドラマとしても、愛憎・裏切り・といった辺りが丹念に…まるで昼のメロドラマのように…描かれ、非常に濃厚で素晴しい内容になっています。
 とは言っても、そこはバーホーベン監督の映画。彼のこれまでの映画に通じる“エロ・グロ・バイオレンス”といった不変のテーマ(笑)も映画の随所に出てきます。バーホーベン節は、故郷に帰っても健在ってとこですね。

 今回バーホーベン監督は、“脚本”としてもクレジットされています。ハリウッドで撮った映画では、彼は脚本としてクレジットされたことはなかったそうです。これはやはり英語で書くことに自信がなかったからだそうで、今回は母国語ってことで、自信を持って書けた(正確には“共同脚本”)そうです。だからでしょうか、映画全体からもバーホーベンのやる気が、バンバン伝わってきます。

 バーホーベン監督は、ハリウッドにはかなり嫌気が差したようで、今後はオランダでもっと映画を撮りたい(ひょっとしたら、ハリウッドには戻らないかも…)と、考えているそうです。それはそれで良いことだとは思うのですが、果たしてこの先日本で彼の新作を観ることが出来るのだろうか(日本でのオランダ映画のマーケティング事情などを考えますと…)?と、少々不安も感じてしまいます。そういった意味からも、この映画は必見です!


 「ブラックブック」は、ただいま全国順次拡大ロードショー中です。故国に帰ったバーホーベン監督、渾身の一作を あなたも是非、映画館でご覧下さい。

映画『ブラックブック』公式ブログ~バーホーベンはお好き~

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ブラックブック@映画生活
by mori2fm | 2007-04-03 01:35 | 映画評 外国映画 ハ行