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「おくりびと」心と気持ちが、優しくなれる映画。

 “モントリオール世界映画祭グランプリ受賞”「おくりびと」(松竹)。とても地味なテーマを描いた映画です。でも、素朴でとても優しい気持ちになれる映画です。


 チェリストの大悟(本木雅弘)は、所属していたオーケストラが突然解散し、失業してしまう。己の能力の限界を感じ、音楽をあきらめた大悟は、妻・美香(広末涼子)と共に故郷の山形へ帰り、亡き母が残した家で暮らし始める。職探しを始めた大悟は『年齢問わず、高給保証!実質労働時間わずか。旅のお手伝い。NKエージェント!!』と書かれた広告を見つけ、その住所を訪れる。そこでは、事務員と思しき女性・百合子(余貴美子)が大悟を迎える。やがて戻ってきた社長(山﨑努)は、面接もそこそこに大悟に『採用』と告げる。仕事の詳しい内容が分からず、『旅関係の仕事では?』と問う大悟に、『これ(広告)は誤植だ』と答えた社長は、『旅のお手伝い』を→『旅立ちのお手伝い』と書きかえる。“納棺師”。大悟が採用されたのは、遺体を棺に納める仕事だった…。


 吾輩“モントリオール世界映画祭”が、どれほど権威のある映画祭なのか存じません。しかし、今回のグランプリ受賞は、この映画にとって非常によろこばしいことだったと思います。何せ、公開初日から“満席”でしたから。この“賞効果”がなかったら、この映画はひっそりと公開されて、あっさりと上映終了していたかも知れません。それくらい、取り上げているテーマが、この上ないくらい地味なモノですから。でも映画自体の出来は、とても素晴らしい物でした。ですから多くの人が映画館に足を運んでこの映画をご覧になるっていうのが、何かとっても嬉しいです。

 “納棺師”という仕事があるという事を、吾輩はこの映画を観て初めて知りました(いや、ああいうことは、全て“葬儀屋さん”がやるモンだと思ってましたので…)。遺体に死に装束を着せ、死に化粧を施し、あの世へ送り出す。映画ではその作業の一つ一つの動作が、入念に撮り上がられていて、さながら崇高な儀式のようでした。ある意味これは一つの“芸術”だと思います。映画の中では、“遺体を扱う仕事”ということで、抵抗を持つ人々の様子も描かれています。吾輩なんぞは、さほど抵抗は感じなかったのですが、やはりそのように感じるのが一般的な通念なんですかね?しかし、その人達も大悟の“凛とした”仕事振りを見て、考えを改めていきます。様々な形の“人の死”に、愛を持って向き合い、その最期を送り出す“納棺師”。非常に素晴らしく、気高い仕事だと思います。

 主演の本木雅弘さんが、イイ演技を見せてくれます。最初の方は、何となく“ダメ男”なんですが、様々な“人の死”と向き合い人間的に成長していく主人公・大悟の姿を、抑えめの演技で堅実に好演しています。もう“モックン”なんて呼んだら失礼ですね。そして妻役の広末さんが、これまたイイ!一時期“プッツン女優”とか言われてましたが、何か完全にふっ切れてるんでしょうね。可愛くも芯が強く、愛する夫を常に支える妻・美香をとても愛らしく演じています。いやあ、あんな奥さん、そうそういませんよ!
 山﨑努、余貴美子、吉行和子笹野高史…、脇を固めるベテラン俳優陣の皆さん。もう何も言うことはございません。映画を安心して見ていられます。それぞれの魅力を如何なく発揮され、この映画をとてもしっかりした作品に仕上げています。

 観る前は、宣伝などから『ひょっとして“号泣誘発映画”なのかな?』と思っていたのですが、随所にユーモアが散りばめられていて(事実、前半1時間くらいは、笑いの方が多かった)、観ていてとても優しい気持ちになれました。こういう“心が優しくなる“演出、滝田洋二郎 監督は、ホントお上手ですね。あと、久石譲 さんの音楽と、山形の素朴な自然の風景が、観る者の心を更に優しくしてくれます。
 何度も書きますが、決して派手な大作ではなく、地味な映画です。でも日本映画として、日本文化の優しい所が描かれていて、本当に“秀作”です。来年のアカデミー賞の日本代表に選出されたそうですが、何とか“外国語映画賞”にノミネートされてほしいですね。ガンバレ!

 「おくりびと」は、ただいま全国絶賛上映中です。観終った後、優しい気持ちになれて、誰かに話したくなる…そんな映画を、あなたも是非映画館でご覧下さい。

~追記~
 本木さん主演で、久石さんの音楽…。観ている間中、吾輩の頭の片隅には、“伊右衛門”のCMが浮かんでは消え、浮かんでは消え…(^^;。

「おくりびと」の映画詳細、映画館情報はこちら >>

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by mori2fm | 2008-09-15 23:30 | 映画評 日本映画 あ行